家族間の円滑なコミュニケーションで、生前贈与・相続をスムーズに!
相続や生前贈与について、「いつ、どのように家族に切り出せば良いのだろう?」と悩まれる方は少なくありません。特に、ご両親がご健在で元気なうちは、お金の話を切り出しにくいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
当事務所のYouTubeチャンネルで公開した動画「【生前贈与】家族間の円滑なコミュニケーション方法について税理士が解説!」では、税理士が、ご家族が円滑に生前贈与や相続を進めるためのコミュニケーションのヒントをお話ししています。この記事では、動画の内容を踏まえ、そのポイントをご紹介します。
まずは「贈与する側の楽しみ」が最優先
当事務所の基本的な考え方は、まず贈与する側のご両親が、ご自身のお金を亡くなるまでに楽しく使うことが第一のポイントです。財産はご両親のものですから、自由に使うということを忘れないでください。その上で、お子様方がどのように生前贈与を促すか、という視点でコミュニケーションを考えることが大切です。
ご両親のタイプ別アプローチ方法
ご両親の考え方には大きく分けて2つのパターンがあり、それぞれアプローチ方法が異なります。
- 将来のことも含めて自分で決め、生前贈与も検討しても良いと考えている方
- 経営者の方や、お金を自分で使ってこられた方に多く見られる傾向があります。
- 自分の生きているうちは財産を守り、誰にも渡したくないと考えている方
- 会社員の方や、専業主婦(主夫)の方に多く見られる傾向があります。
タイプ1:生前贈与や相続対策に前向きな方へのアプローチ
このタイプのご両親には、生前贈与と遺言書作成の2つの手続きについて検討を促すのが良いでしょう。
- 切り出しのタイミングと内容
- ご高齢の場合(80代以上など): ご自身で財産を使いきれないと感じている可能性があるため、まずは生前贈与からアプローチする方がスムーズなことが多いです。
- 比較的若い場合(60代・70代など): すぐに「お金が欲しい」という話になりがちなので、万が一の際の遺言書の話から進める方が良いかもしれません。
- 最も効果的な切り口は「相続税シミュレーション」: 人間は「損失回避」の傾向が強いため、「相続税がどれくらいかかるのか」「どれくらい損をしてしまうのか」といった税金や損失の試算を専門家にお願いして見せるのが最も効果的なアプローチです。実際に当事務所にご相談に来られる方も、この切り口で来られる方が多いです。
- 専門家への相談の仕方
- 最初は親子で一緒に: ご両親に関心がある場合、最初はお子様も一緒に専門家を訪れるのが良いでしょう。
- 親の意向を尊重する: ご両親の中には、お子様には財産の全容を見せたくないが、専門家には見せても良いという方もいらっしゃいます。その場合、お子様は「私は全部を聞かなくてもいいスタンスである」ことを示し、途中で席を外したり、車で待ったりするなど、柔軟な対応をすることが円滑なコミュニケーションにつながります。
- 早めに第三者を入れる: ご家族間だけで話がまとまらない場合だけでなく、最初からある程度話したら、早い段階で専門家や金融機関などの第三者を交えて話を進める方がスムーズなケースも多いです。
タイプ2:財産を渡したくないと考えている方へのアプローチ
このタイプのご両親には、最初のうちは生前贈与の話はしない方が良いでしょう。自分の財産額を知られたくないと考えている方も多いからです。
- 効果的な切り口は「遺言書作成」
- 昨今流行している**「終活」というテーマと絡めて、万が一の手続きとしての遺言書作成**を提案するのが有効です。
- 「遺言書がないとどうなるか」を伝える: せっかく残した財産が、遺言書がないためにどのように分けられるか、どのように活用されるか分からなくなってしまうことを説明します。
- 「意思表明の重要性」を強調する: 遺言書は、残る財産を「誰に」「どんな風に」引き継ぎたいのか、「みんなに均等に渡すのか」「家は誰に渡したいのか」といった最後の意思を明確に示す大切な手段であることを伝えます。
- 遺言書の形式と専門家の活用: 遺言書には決まった書式(名前、日付、印鑑など)がありますが、すべてを配偶者に渡すなどシンプルな内容であればご自身で作成することも可能です。しかし、色々なことを書きたい場合は、専門家への相談が望ましいでしょう。
- 専門家への無料相談を活用
- 多くの専門家事務所(当事務所含む)では、要件を満たseba初回の無料相談を受け付けています。これは「無料カウンセリング」のようなもので、費用を気にせず、まずは専門家の話を聞いてみる良い機会となります。気軽にLINEなどを活用して相談してみることをお勧めします。
どちらの対策も「やりたくない」方へのアプローチ
生前贈与も遺言書作成も、どちらもやりたくないという方もいらっしゃいます。このような場合、答えを見つけるのは難しいこともありますが、いくつかアプローチが考えられます。
- 配偶者の活用: もし配偶者がいる場合、片方の親(例:お母様)が先に手続きを進め、その方が「こんなにすっきりしたわ」と体験談をもう一方の親(例:お父様)に話してもらうのが有効です。
- 「日頃の家族コミュニケーション」が最も大切: どちらも乗り気でない場合や、片方の親しかいない場合(例:お母様が先に他界され、お父様だけの場合)は、毎日の家族のコミュニケーションが非常に重要になります。
- ご両親が「お金のことや将来のことを考えたい」と思うのは、ご自身の生活に不安がないか確認したい時や、お子様・お孫様への感謝の気持ちを伝えたい時です。
- お金をもらうためだけでなく、定期的に訪問し、例えば母の日に限らずお孫さんの写真を送ったり、好きなスイーツを買っていったり、普段買わないような少し高価なものをプレゼントしたりと、積極的にコミュニケーションを取り、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
- 実際に当事務所の相談事例でも、孫との交流が増えたり、訪問回数が増えたりしたことで、相続手続きの対策が進んだケースがあります。
- これはお金のためだけでなく、最終的に生前贈与や遺言書作成を行うことが家族みんなにとってプラスになることにつながります。コミュニケーションを増やすことで、仲の良い家庭が一つでも増えることを願っています。
「お金を人には渡したくないし、使ってもいない」方へのアプローチ
このような方は、投資などで「お金を増やす」ことには関心があっても、「使う」ことにはあまり意識が向いていない場合があります。
- 「お金を使う喜び」を体験してもらう: まずは、ご自身でお金を使い、喜びを得る体験をしてもらうことが重要です。旅行や趣味、生活改善のための家電購入など、どのような小さなことでも構いません。
- サブスクリプションサービスの提案: 特に高齢者の方には、月々数百円~千円程度で利用できるNetflixやAmazon Primeなどのサブスクリプションサービスを提案するのも有効です。少額でも「お金を使うとこんなに楽しいことがある」という体験を積むことで、お金を動かすことへの抵抗が減り、円滑なコミュニケーションにもつながる可能性があります。
最後に:最も大切な「非課税財産」とは
金銭的な財産だけでなく、家族との思い出や、残されるメッセージ(例えば遺言ビデオレターなど)は、お金では買えない、一生相続税がかからない大切な「非課税財産」です。当事務所でも、ご依頼者様がご家族へのビデオレターを撮影され、皆が感動し涙を流した経験もあります。
相続は、単に金銭的な分配だけでなく、ご家族との絆を深め、大切なメッセージや思い出を「何を残すのか」を考える機会でもあります。
お気軽にご相談ください
相続や生前贈与に関するご家族での話し合いは、時に難しいものです。当事務所では、皆様が円満な相続を迎えられるよう、専門家として様々な情報提供とサポートを行っております。
今回の情報が皆様の「切り出し」の参考になれば幸いです。もし具体的なご相談やご不安な点がございましたら、当事務所では初回無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。