銀行口座の相続手続きをスムーズに!「裏技」を弁護士が解説
ご家族が亡くなられた際、銀行口座の相続手続きは多くの方が初めて経験され、その複雑さや手間から「何から手をつけて良いかわからない」と戸惑われることも少なくありません。
当事務所のYouTubeチャンネルで公開した動画「【必見】銀行口座の相続手続き、必要書類、費用、流れを弁護士がわかりやすく解説!」では、弁護士が、銀行口座の相続手続きの基本的な流れから、知っておくと手続きが格段にスムーズになる「裏技」まで、具体的なポイントを分かりやすく解説しています。
この記事では、動画の内容を踏まえ、その重要なポイントをご紹介します。
亡くなられた方の銀行口座はどうなる?
まず、ご家族が亡くなられたことを金融機関に伝えると、その口座は一時的に凍結され、お金を引き出すことができなくなります。これは、相続財産を保全し、正当な相続人への引き継ぎを確実にするための措置です。凍結された口座から預金を引き出すためには、しかるべき相続手続きを行う必要があります。
銀行口座の相続手続きの基本的な流れと従来の課題
基本的な手続きとしては、亡くなられた方に相続人がいらっしゃる場合、その相続人の方が金融機関に連絡し、預金の払い戻しを受けることになります。この手続きには、いくつかの書類が必要となります。
【必要な書類の例】
- 亡くなられた方の戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 亡くなられた方と相続人の繋がりを示す戸籍謄本
- 各金融機関所定の手続き書類(インターネットでダウンロードまたは支店で取得)
特に「戸籍謄本」の取得は、従来、非常に手間がかかるものでした。
- 各市役所での取得:以前は、戸籍謄本はその市役所が管轄するところにしか申請できませんでした。本籍地を何度も変えている方の場合、複数の市役所を回ったり、郵送で請求したりする必要があり、それぞれに手間と時間がかかっていました。
- 手数料の支払い方法:郵送の場合、現金ではなく「郵便小為替」という特殊な書類を郵便局で購入し、それを同封して申請する必要がありました。しかも、戸籍謄本の枚数によって手数料が変わるため、多めに購入しておく必要があるなど、細かな確認が必要でした。
このような複雑さから、多くの方が手続きに「時間がかかる」「面倒だ」と感じていました。
これでグッと楽になる!相続手続きの「裏技」と新制度
国もこの相続手続きの負担軽減を目指しており、いくつかの便利な制度が導入されています。これらを活用することで、手続きを格段にスムーズに進めることができます。
1. 戸籍謄本の取得が格段に楽に!「広域交付制度」
2024年3月から始まった**「広域交付制度」**により、戸籍謄本の取得が非常にスマートになりました。
- 全国どこでも取得可能に:この制度によって、一つの本籍地がある市役所で手続きをすれば、他の市町村の戸籍謄本もまとめて取得できるようになりました。これにより、何箇所も市役所を回ったり、郵送手続きを繰り返したりする手間が大幅に削減されます。
- ただし、この制度を利用できないケースもありますので、事前に確認が必要です。
2. 各金融機関での提出書類を一枚に集約!「法定相続情報証明制度」
戸籍謄本を何通も取得し、各金融機関にそれぞれ提出するのはやはり手間がかかります。そこで活用したいのが**「法定相続情報証明制度」**です。
- 相続関係の「証明書」を発行:戸籍謄本を法務局に提出し、相続関係図を作成して提出することで、法務局が相続関係を証明してくれる書類を発行してくれます。
- 現在のところ発行手数料は無料!
- 複数金融機関での利用:この証明書があれば、各金融機関に戸籍謄本の束を何通も提出する必要がなく、原則としてこの1枚で手続きを進めることができます。
- ただし、全ての金融機関がこの書類に対応しているわけではないため、事前に確認することをお勧めします。
3. 各金融機関ごとの書類作成が不要に!「遺産分割協議書」の活用
多くの金融機関では、それぞれ固有の手続き書類をダウンロードして記入する必要があります。しかし、これを一本化する「裏技」が「遺産分割協議書」の活用です。
- 揉めていなくても作成を推奨:遺産分割協議書は、相続人間で財産の分け方を話し合い、合意した内容を記載する書類です。一般的に相続争いがある場合に作成するものと思われがちですが、相続人間で揉めていない場合でも、あえてこの遺産分割協議書を作成することで、各金融機関の手続き書類を省略できます。
- 一本で済む:遺産分割協議書に、相続財産(複数の金融機関の口座を含む)の分け方を明確に記載し、相続人全員の署名と押印があれば、その1通を各金融機関に提出するだけで、それぞれの金融機関の個別書類を用意する手間を省くことができます。
- 注意点:一度作成した遺産分割協議書を後から変更しようとすると、贈与税のリスクが生じる場合があるため、分け方をしっかり決めてから作成することが重要です。
これらの「裏技」や新制度を活用することで、時間とお金を節約し、スムーズな手続きが可能になります。
手続きにかかる期間と注意点
書類に不備がなければ、提出から約1ヶ月以内に手続きが完了することが多いです。ただし、書類に不備があったり、金融機関とのやり取りに時間がかかったりすると、2~3ヶ月かかることもあります。
各制度や書類作成における注意点としては、以下の点が挙げられます。
- 戸籍の繋がり:「広域交付制度」を利用できない場合や、ご自身で戸籍を集める場合、戸籍が抜け落ちていないか、繋がっているかを確認する必要があります。
- 法定相続情報証明制度:法務局に提出する相続関係図は、各相続人の氏名などを正確に記載し、戸籍を完璧に揃えた状態で作成する必要があります。
- 遺産分割協議書:相続財産の分け方を明確に決め、合意した上で作成することが重要です。
相続関係図や遺産分割協議書は、インターネットでフォーマットを探してご自身で作成することも可能です。しかし、預金以外の財産も含まれる場合や、複雑な相続関係の場合には、記載内容が難しくなることもあります。
「自分でやるのは難しい」「時間がない」そんな時は専門家へ
「裏技」を知っていても、やはり戸籍の収集、複雑な書類作成、各金融機関とのやり取りには、平日昼間の時間確保や専門知識が必要です。仕事や介護などで忙しく、ご自身での手続きが難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合は、専門家への「丸投げ」も有効な選択肢です。
- 全てを代行:弁護士などの専門家に依頼すれば、戸籍の収集から法務局への申請、遺産分割協議書の作成、各金融機関との手続きまで、全てを代行してもらうことができます。
- 質の高い書類作成:専門家が作成する遺産分割協議書は、相続税などの税務も考慮した、専門的で適切な内容となります。
- 最も安心で確実な方法:専門家に任せることで、手間なく、安心して、確実に手続きを進めることができ、不備による遅延リスクも軽減されます。
お気軽にご相談ください
銀行口座の相続手続きは、誰もが直面する可能性のある重要な手続きです。今回ご紹介した「裏技」や新制度は、手続きの負担を大きく軽減してくれるはずです。
もし具体的な手続きについてご不明な点がある場合や、「自分でやるのはやはり不安」「専門家に任せてスムーズに進めたい」とお考えの場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。
当事務所では、初回無料相談も受け付けております。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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