【実家相続】都市部の長男 vs 地方の次男 なぜ兄弟は対立するのか?失敗しないための解決策を弁護士が解説
近年、ご兄弟の一方が東京などの都市部に、もう一方が地元に残られているご家庭からの実家相続に関するご相談が急増しています。
親御様が亡くなった後、「実家をどうするか」という問題は、単なる財産の話に留まりません。ご家族それぞれの故郷への想いや将来設計が絡み合い、時として深刻な対立に発展することもあります。
この記事では、実家相続でよくあるトラブルの原因と、ご家族が円満な解決を迎えるための具体的な対策について、専門家の視点から詳しく解説します。
なぜ実家相続で兄弟は対立するのか?3つの原因
実家の相続について話し合う際、ご兄弟が対立しやすいポイントは主に3つあります。
価値観の違い
実家を「大切な資産」としてだけでなく、「家族の思い出が詰まった場所」として残したいと考える方がいる一方で、管理の負担や維持費を考慮し、「早めに売却して整理したい」と考える方もいます。特に、地方の実情から離れている都市部の相続人が、現地の状況を理解しないまま「思い出だから残してほしい」と主張し、対立に繋がるケースが見られます。
経済格差や立場の違い
相続人の中に経済的に余裕がない方がいる場合、実家を早期に売却して現金化したいと考えるのは自然なことです。一方で、経済的に余裕のある相続人は売却を急ぐ必要性を感じないため、この経済状況の違いが意見の相違を生む一因となります。
情報の格差
都市部の不動産市場の感覚で、「実家も活用すれば収益化できる」「すぐに価値は下がらないだろう」と考える都市在住の相続人。それに対し、人口減少などの厳しい現実を日々目にしている地方在住の相続人は、「買い手がつかない」「更地にしても売れないかもしれない」という危機感を持っています。この情報と認識のギャップが、大きな対立の火種となります。
争いを避けるために親ができる3つの生前対策
ご兄弟間の無用な争いを避けるためには、親御様がご健在なうちに対策を講じることが極めて重要です。
遺言書の作成
実家を誰に相続させるのかを遺言書で明確にしておくことで、相続発生後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、付言事項として「なぜそのように分けたのか」という親御様の気持ちや、「1年間は大切にしてほしいが、その後は負担になるなら処分しても良い」といった願いを書き添えることで、お子様たちの話し合いが円滑に進む効果が期待できます。
家族信託の活用
家族信託は、親御様が元気なうちに、信頼できるご家族に財産の管理を託す制度です。「将来、自分が認知症になったら実家を売却し、介護施設の費用に充ててほしい」といった願いを、亡くなる前の段階で実現できます。ただし、親御様の判断能力がしっかりしているうちに行う必要があるため、早めの検討が重要です。
家族会議の開催
親御様の考えを一方的に決めるのではなく、ご家族全員で話し合いの場を設けることも非常に有効です。「もし介護施設に入ったら、この家をどうしたいか」といったテーマで、お子様たちの意見も聞きながら、全員で将来について考える良い機会になります。これは大げさな会議ではなく、普段の会話の中で少しずつ話し合うことから始められます。
【目的別】実家の売却、どこに相談すべき?
話し合いの結果、実家を売却することになった場合の相談先を目的別にご紹介します。
「家を守りたい」「誰かに継承してほしい」場合
地域の事情に精通している地元の不動産会社への相談が有効です。地域のネットワークを活かし、最適な活用方法や買主探しについて親身に相談に乗ってくれるでしょう。
「1円でも高く売りたい」場合
地元の不動産会社だけでなく、都市部の不動産会社も選択肢になります。現在は不動産情報システム「レインズ」等を通じて全国の物件情報が共有されるため、都市部の不動産会社でも地方の物件を適切に扱うことが可能です。
売却が困難な不動産(山林など)の場合
一般的な不動産会社では対応が難しい山林などの場合は、インターネットで売却困難な不動産を専門に扱う不動産会社を探し、相談することを検討しましょう。
大切なのは家族の対話
実家相続は、お金の問題だけではありません。家族の歴史や思い出が詰まった、お墓の問題にも通じるデリケートな問題です。
だからこそ、親御様がご自身の想いをしっかりと伝え、ご家族で十分に話し合うことが何よりも大切です。もしご自身で結論が出ない場合は、お子様や配偶者、時には親戚も交えて相談し、大切な不動産をどうしていくかを決めていく必要があります。
当事務所は弁護士と税理士が在籍しており、不動産売却に関する豊富な知識と経験を有しています。どこに相談すれば良いか迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
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